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クリシュナ・ケブロ・ニテ・ラプトゥ

定価¥0 特価

《銀の貴公子》の異名を持つダマスタの騎士。三聖剣のひとつアル・ス・レーテの担い手。
 工呪会製の実験機アビ・ルーパを愛機とする。僧正編ではやはり工呪会からもたらされた八機神《月狼の操兵》ユィノ・アビ・アルタシャールに乗り換えている。
 父方の先祖が何代も前に交易路を辿って中原に移り住んだ西方系商人で、彼の銀髪や中原人とは思えない肌の白さは隔世遺伝と思われる。整った容姿は母親のサリューダ譲り。
 祖父のマハート・キメルは野心家でありあまる財を使って交易都市ケブロトを含むケブロの領地を統治しているラプトゥ家に息子のカリフを婿として送り込んで権力強化を図った。祖父の強引な遣り口に反発を覚えて武者修業と称して家に寄りつかない。しかし買ってもらったアビ・ルーパを当然のように乗り回したり、軍役が命じられた際には祖父が揃えた従兵機ル・グリップで編成された操兵部隊をありがたく受け取るなど、美意識よりも実利を優先する性格と思える。


(聖都編)
 本国で騎士叙任後、単身目的もなく旅を続けている途中、交易路沿いの宿場町ドウシャにてフェンとジュレ・ミィと出会って仲間となる。
 だが三人旅は長く続かない。ウルオゴナ侵攻の報に接し、騎士の義務感からフェンとジュレと別れて故郷の都市ケブロトに戻る決意をした。別れを迎える前にフェンを付け狙う《火の門》バルザに襲撃されて愛機が甚だしく傷つくが、ヴァシュマールが隠されていた力を発現させてバルザを撃破した上に竜巻に乗ってはるか北のカッチャナラ山まで飛んでいってしまった。
 フェンがいなくなったためジュレはクリシュナが保護することになる。実家に留まれるよう手配するが、小姓に変装して戦についてきてしまう。
 第五次となるダマスタ=ウルオゴナ戦争では成り上がりを嫌う上官ゴル・バ・ラナウとの確執や、強敵グルーンワルズ傭兵騎士団のガシュガル・メヒムとの戦いなど、彼の行く末を方向付ける事態が連続する。そして《蒼狼鬼》との最初の対決で敗北しかかった時、ダマスタ義勇軍が救援にかけつけ、九死に一生を得る。義勇軍はウルオゴナの裏にいるダム・ダーラの影を感じたラマス教の肝煎りで急遽結成された。
 工呪会のダハール・ラドラからラマス教大僧正ルミア・ベモス、そしてソーブン寺管長ハラハ・ヴァルマー、最後に義勇軍の総大将にしてラウ族の戦士長イル・カタムといった人々の手を介して聖剣アル・ス・レーテがクリシュナの元に届けられた。
 中原全土を戦乱の渦に巻き込む聖都計画を阻止するには、ウルオゴナの軍勢を食い止める必要があり、敵側の要がグルーンワルズ傭兵騎士団だった。聖剣の超常の力を借りて《蒼狼鬼》との再戦に勝利するが、その副官ゼナムを死に至らしめたことで新たな因縁を背負い込む結果となった。

(東方編)
 クリシュナはガルンの帰国に付き合い、フェンとジュレとともに故郷を後にする。
《八の聖刻》に唯一対抗できる武器である聖剣を託されるということは、ガルン同様封印者としての使命を背負うことを意味する。すなわち《白き操兵》だと判明したヴァシュマールと、その選ばれし者であるフェンを監視し、場合によっては命を奪う義務が生じるということだ。事実東方南部域のルアンムーイではヴァシュマールが暴走し、フェンともども討伐する覚悟を決めるが、ジュレの決死の行動によって回避できた。

(僧正編)
 ヴァシュマールの暴走騒ぎでフェンとジュレの前世から続く繋がりを知ったクリシュナが嫉妬から仲違いをする。折しもバール・デンドルの命を受けたはぐれ練法師による襲撃が起き、整備不良で本来の能力を発揮できないアビ・ルーパは、敵が化け物じみた獣機だったこともあり再起不能の損傷を負う。覚醒したヴァシュマールとフェンが獣機を掃討するも、打ち捨てられたアビ・ルーパの操手席にクリシュナの姿はなかった。
 仲間とを分かったクリシュナは東方西部域ハグドーン国の町シドーに留まっていた。心身に負った傷を癒すためだったが因縁が追いかけてくる。工呪会のダハールがアビ・ルーパに代わる機体アルタシャールを持ってくる。聖剣と共に封印者の使命を捨てたつもりでいるクリシュナは受け取りを拒否するが、ダハールはクリシュナ以外には起動すらできない欠陥機だと言って置いていく。
 折しも隣国ライリツの侵攻により町は襲われ、何かと面倒を見てくれた娼婦エヌマが命を落とす。その死を目前で見たクリシュナの怒りがアルタシャールの長い眠りを覚まさせて単騎でライリツの軍勢を全滅させる。そしてシドー救援にかけつけた黒狼騎士団のテルガー・カムリの保護下に入る。テルガーは父親である聖刻騎士団西部域方面軍軍将グッテン・カムリの命令に背き、ハグドーンの支援を続ける。直属の部隊しか戦力を持たずライリツ軍の侵攻に抗しきれないテルガーのためにクリシュナはアルタシャールで助太刀する。
 だがバール・テンドルの罠に落ちて《黒き血》を注入されてしまう。ゴナ砂漠から回収した《黒き操兵》の血液を原料とするそれは、人間と操兵の能力を何倍にも増幅する。クリシュナの場合はアルタシャールで練法が使えるようになり、ヴァシュマールをも翻弄し、フェンのもとからジュレを連れ去った。反面能力を使えば使うほど理性をい、肉体が怪物化していくデメリットがある。
 バールは部下のオーザムにも同様の処置を施しており、どちらか一方を贄として《黒き僧正》を復活させようと目論んでいた。誤算があったとすればクリシュナの前世である《西方の黒き魔女》イーシュナの人格が表面化し、バールの思惑を超えた動きをし始めたことだろう。しかし《僧正》の支配力には抗しきれず、意識を乗っ取られてしまった。彼を救い出すにはフェンやジュレだけでは足らず、他の八機神の手助けを要した。